居場所が無かった

何処に居ても居心地は悪かったし、ゆっくりと時間を過ごすなんて
到底無理だと思っていました。いつでもいらいらしていたし、
いつでも何かに追われているような気がしました。

今から23年位前のある日の事です。故郷のゲーム喫茶で
いつものようにギャンブルに浸っていた私に誰かが話しかけています。
気が付くと何処かで聞いた事のあるような声がします。
その声の主は私の小学生からの幼馴染でその当時はすでに
非合法組織に属していた同級生が、何故お前はここに居る。
お前の来る様な所ではないだろうとあきれたような声で話しかけていました。

あいまいに言葉を返してその場から立ち去りました。
他の人からの会話からしてどうやら彼が用心棒になっているようで、
もうそこの店にはいけないなぁと少し残念に思いました。
彼が話していた内容や多少は残っていたと思われる友情も、
手に取るのも何も感じもせず、感じようともせず
別のゲーム喫茶に行ってただギャンブルを打ち続けていました。

その頃から人生の軸をギャンブルに置くようになってまして、
他の事は段々と曖昧模糊とした記憶しか残らなくなりました。
まるで興味の無い物が沢山会ってとても退屈な事ばかり、
そんな中でも生きてゆくのにますますギャンブルが必要になって来ました。

他人や家族に対してその場限りの事を繰り返していた私に対して、
自ずと興味をなくされ、不信感を抱かれ、うわべだけの付き合いは
出来るのですが、それ以上は有りませんでした。
そして私にはギャンブル以外の物への興味はあまり無くなりました。

最初に破綻を体験した昭和から平成に年号が変わったあの時から
私は何処に行っても居心地が悪く、何かギャンブルに変わる物を
探そうとしても見つからず、何かわからない感情にいつでも
脅かされ、そしていつでも渇いていました。その渇きを満たすために、
色々な物を求め続けました。例えば愛があればとか、友情があればとか、
安定があればとか、地位や名誉があればとか、権力があればとか、
何処か平和な町に暮らせればとか。

何があっても決して満たされる事は無く、少し手に入ると
もっと欲しくなるか、もしくはすぐに無くなってしまう妄想に襲われて
いつでも不安でした。そしてその不安が素で自暴自棄になる時も
多々有りました。とても苦しかったです。そして切なかったです。

やがて年月が過ぎ、進行性の病と称される通りに、
段々と状況は酷くなって行きました。何度も実家の力をお借りして
清算した借金の額は回を重ねるほど莫大な物になり、
最後にギャンブルを打ち続ける事も自分で止める事も出来ず、
GAにたどり着いた時は年収の8割位の金額の借金をしていました。

私は自分の力ではこの問題を解決出来ないと覚った時から
解決の道をゆっくりと歩み始める事が出来ました。

現在ギャンブルに対して降参してから3年と少し。
賭けない今日一日を繰り返した事によって今は楽になりました。
別に借金が無くなった訳でも、いい人になった訳でもありません。
ましてや何か良い生活の糧が新たに見つかった訳でもないです。

ブレーキの壊れた2ストのバイクで峠を走るような毎日から、
自転車で遊歩道をのんびりとこいで行く位の変化です。
確かに刺激的な事はありません。むしろ退屈な時もあります。
でももう一気に気分を変えるような事は必要ありません。
もちろん薬物やアルコール、他の行為も今は必要ありません。

もうギャンブルは私には必要じゃ無いのかも知れません。

この霊的執行猶予のまま毎日を暮らす事が出来れば。
今日一日賭けないでまた明日も今日一日を迎える事が出来れば。
今居る居場所を守る事が出来るんじゃないかなぁと思っています。

家庭の中では家族。社会の中では同僚、友人。地域の中も含めて
今私には居場所があります。そして自助グループの一員である私には
仲間も居ます。12ステップの共同体があります。それは私の終生の
居場所でもあります。お互い爺さんになってもミーティングに行こうって
話をする仲間が居ます。私はもっと良くなりたい。回復してゆきたい。
希望を忘れる事無く。そしてこの小さな灯火を守り続ける事が出来たらと
思います。どんな問題にも解決はある。必ずいつか解決します。
それは思った形通りじゃないですが何とかなります。

何とかする事は出来ませんがどうしたかと示す事は出来ます。
どうしたかを手渡す事。それは私たちの責任です。
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Author:ヒロ
ギャンブル依存症のヒロです。ハイヤーパワーと共に新しい生き方を学んでいます。

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